ドラッカーから学ぶ、経営者の時間管理法 最上級編

なぜ、何もせずに、ずるずると時間だけが過ぎ去ってしまうのか? ※第25回 定例講義 中上級編

2013年12月02日(月)【定例講義 中上級編】  【記事投稿者一覧→】

2013年末のこの時期、クライアントさんの活動を拝見すると、

     「もう12月になってしまったのか…」

と嘆かれる方と、

     「今年もよくぞここまでのことを実現できたな!」

と感慨深く思われる方に大きく分かれることを感じます。

弊社の方では、年始には想像もしていなかったようなこと、いや計画はしていたものの、本当に実現するとは思わなかったようなものも次々と形になり、昨年までとは全く違うステージでの活動が増えてきました。(感謝)

もちろん、これまで全力を尽くしてきたにも関わらず、具体的な成果にはつながりにくかったようなものがいくつかあるのも事実です。

この年末年始、そのあたりをもう一度、よく考えた上で、弊社のコアとなる活動はどこにあるのか、そして、来年以降、どこに最も経営資源を集中していくことが重要なのかを検討する時間をとりたいと考えています!

さて、そのような中で、今回の定例講義(中上級編)のテーマとしては、「時間管理」を採り上げました。

きっかけは、先日、先日、クライアントさんとの個別面談の中で、「時間管理はどうやっているのですか?」という質問を頂いたことにありました。

というのは、以前は「時間管理」ということに、とんでもなくエネルギーを注ぎ、関連書籍は片っ端から読みあさり、四六時中、「時間管理」の理想のあり方はどんなものかを追求し続けていたのに、今現在はそれに対して、全く関心を持っていないことに気付いたからです。

「手帳はどんなものを使っているのですか?」と聞かれても、手帳はかれこれ10年以上も持ったことがないですし、そもそも、「時間管理」という概念が無くなってしまっていたようでした。

そのとき、なぜなのだろうかと考えて、クライアントさんにお答えしたのですが、回答の1つは次のようなものでした。

まず、私達一人の時間は24時間で、がんばっても月に500時間くらいまでしか働けません。

私の方でも過去最高の月間労働時間は、前職のときの540時間/月ですが、これは長きにわたっては継続することはできません。

今現在においては、仕事量よりも、主夫業(家事・育児)にかける時間の方が長いので、頑張ったところで、月200時間程度が私の時間の限度です。

これは、あくまでフルで息子が保育園に行ってくれた場合の話であって、病気して保育園休んだり、保護者会やその他の保育園行事に行ったり、病院や検診につれていったりといった時間があることを考えると、月200時間確保するも結構大変ですね。

そのような限界について、4年前から痛感しているので、どうしたら自分の時間を効率的に使うのかという概念を捨て去り、どうしたら、自分以外のスタッフの力を借りることができるかという方向に視点を向けてきました。

お陰様で、有能なスタッフに恵まれ、私の方では直接、日々の仕事をお願いするためにやりとりしているスタッフは、スポット契約の方を含めると21名となります。

1人のスタッフが月に50~100時間の力を貸してくれることを考えると、20名合計の力を合わせると1,000~2,000時間/月 が生まれます。

これは私一人で頑張る時間の5~10倍超であり、このような時間をどうやって生み出していくのかということが、私にとっての最大の関心事です。

つまり、自分の「時間管理」よりも、そういった人材の採用・教育が重要であり、「時間管理」よりも「人事管理」の方に目が向いているのだということに、今更ながら気付かされました。

もちろん、上記のような採用は、将来見込まれる需要にお応えするための先行投資的な部分があり、その分、一時的に赤字が出るのは当然という発想のもとで行っています。

ですので、単に経営として見た場合には良くないように見えるかもしれないですが、それが、「投資」の考え方だとも捉えた上で実行しているわけです。

では、「時間管理」は必要ないのかと言うと、クライアントさんに対してそのようなことをお答えしてから、改めて何度も考える機会が増えました。

なぜかと言うと、当たり前ですが、スタッフが増えれば増えるほど、そのスタッフのために何ができるかと考え、コミュニケーションの頻度が増えるため、気がつくと、スタッフとのやりとりで1日が終わってしまうということが頻発したからです。

正直なところ、目の前の教育の業務に精一杯で、他の業務は何もできないということが特にこの3ヶ月間は続いてしまいました。

これはどうしたことか、と反省しつつありますが(笑)、そのとき思い出したのがP.F.ドラッカーの

     「経営者の条件」(ダイヤモンド社)

でした。

同書の第2章には「汝の時間を知れ」というテーマについて、とても深い内容が書かれています。

その書き出しの部分を少し引用しておきましょう。

私の観察では、成果をあげる者は、仕事からはスタートしない。

時間から出発する。計画からもスタートしない。時間が何にとられているかを明らかにするところからスタートする。

(途中略)

次の3段階にわたるプロセスが、成果をあげるための時間管理の基本となる。
1.時間を記録する
2.時間を管理する
3.時間をひとまとめにする

 

この部分を読み直したとき、「時間管理」に関心がなくなってしまった私も、実は、かなり時間管理を意識していることを思い出しました。

なぜからば、この3つは、既に日々、無意識のうちに(?)実行してきたからです。

例えば、「時間を記録する」ということに関しては、私自身も毎日、日報を分単位で記録しています。

在宅秘書サービスをご利用のクライアントさんは、秘書さんに対して、日報を提出してもらい、日々、マネジメントされていることと思いますが、恐らく、社長自身が付けているという方は、あまりいらっしゃらないのではないかと想像しています。

私がなぜ日報を付けているのかというと、基本的なスタンスとして、自分もやらない、やりたくない、やる意味を感じないことを、スタッフに指示しないという考え方を持っているからというのが一つあります。

が、それに加えて、やはり時間を大切にしようと思ったら、時間を管理しないといけない、そのためには自分の時間をどう使っているのかを把握する必要があるとずっと真剣に考えてきたからというのがあります。

というよりも、私が考えたことではなく、これは、高校生の頃から研究していることで受験に失敗し、在宅浪人したときから、社会人になってからも、独立してからもずっとやり続けてきていることでした。

今現在も、分単位で記録しています。

例えば、この月刊誌を書くのに何分かかったかということも、もし途中で電話がかかってきたりして対応した場合には、その部分は別に記録しながら、実質的に原稿を書くのに何分かかったかということを、できるだけ正確に記録しながら仕事をしています。

なんと息が詰まることだと思われることかもしれませんが、私にとってはこれは日常的なことで、時間管理のためには当たり前のことにすぎません。

そして、記録するだけではなく、内訳として、営業に何割、スタッフ教育に何割、また経営戦略立案に何割といった内訳も分かるようなフォーマットにしています。

ですので、スタッフ数が増えた結果、その教育やコミュニケーションにどれだけ時間が増えてきたのかを単なる感覚ではなく、数字で把握することもできます。

だからこそ、最近、スタッフ数が増えて、自分の仕事ができなくなってきたなということが、感覚的な危機感ではなく、定量的な数字で把握でき、このままではまずいぞと感じてきたわけでした。

そういったことを実感しながら、久しぶりに「経営者の条件」を拝見していく中で、なぜ、ドラッカーがそこまで「時間管理」に言及することが多いのかを再認識しました。

そして、長いこと私自身が「時間管理」に関心が無くなり、むしろ「人事管理」に重きを置いていることが恥ずかしくなったりもしました…。

ドラッカーは、経営者が「人事管理」に力を入れることなど当たり前だと言ってます。

経営者として、やるのが当たり前のことなのです。

そして、それをやると、スタッフ数がどんどん増え、その結果として、まさに今の私の状態がまさにそうなのでしょうが、コミュニケーションの頻度があまりにも増えすぎ、経営者本来の仕事が、全時間の4分の1さえもできなくなってしまう状況に陥ります。

興味深いのは、ドラッカーは、経営者本来の仕事のために避ける時間の割合を4分の1からもっと増やせるようにしましょうとは言っていないということです。

むしろ、経営者なのだから仕方がないと言っています。

その上で、その4分の1の時間を、どのように「時間管理」するのかを考えようと言っているのです。

「経営者の条件」を最初に読んだときには、私が今現在感じているようなことを体験する前の時期であったがゆえに、恐らく、何気なくスルーして分かった気になり、ようやくのところ、今、本当の趣旨について理解することができるようになったのかもしれません。

お陰様で、今は、スタッフとのコミュニケーションを、どのように効率化して時間を削減していくのかという発想は、なくなっていきました。

(もちろん、そのための工夫、仕組み作りはし続けることは重要だと捉えています。)

逆に一方で、全体のうちの4分の1の時間を、どのように有効活用するのか、という発想に、焦点を当てることができるようになりました。

例えば、その1つに、今まで20年間、どんなに苦労しても実現することができなかった早起きや早朝の仕事(笑)が、一瞬にしてできるようになりました!

(その、最初の本当のきっかけについては、先月号の月刊Share Brain Business Review 第24号の「おわりに」の中で触れています。)

ちなみに、ドラッカーの時間管理の手法を活用すると、同じ1週間の中でアポをどのように入れるのが最も良いのかや、ミーティングをするとしたら午前中と午後のどちらの用が適切か、といった、極めて、実践的に使えるようなアクションにまで落とし込むことができます。

そのような中、今回定例講義(中上級編)では、ドラッカーの理論を補足解説の上、「時間管理」のための具体的なアクションについて、解説しました。

私の方で行っている「時間管理」の方法・ツールや、アポの入れ方の事例についても触れています。

そのテキストや音声解説ファイルは以下をご参照くださいね。

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