「競争の戦略」という名著がある通り、起業活動とは競争そのものかもしれないし、競争を前提しないと、生き残り続けるのは難しいものでしょう。
ただ、その競争が、競合からシェアを奪って、自社が良くなるような考え方は、今の時代に置いて、果たして良いものなのでしょうか?
特に、今の日本においては、これから人口が減り続けます。
日本のGDPも減り、国際的な力が落ち込みます。
私達の世代は、この20年の喪失感を感じながらも、日本の良き時代を全うしたのは間違いありません。
そのために、1,000兆円という負債を背負い、私達の子供や孫の世代に押しつける結果になってしまったのが今だとも言えます。
これからがそのような時代だと言うのに、マーケットが衰退しているにも関わらず、競合の売上を奪って、自分の売上がたつようなビジネスモデルを考え、そして起業活動を進めても良いものなのでしょうか?!
自社が前進すると、競合企業が苦しむようなビジネスモデルはやはり、あまり好ましいものではないのではないかとさえ、考えてしまいます。
例えば、飲食で起業したい方がいるとします。
そして、今の時流をとらえた新しい画期的な業態を開発し、1店舗で1億の年商をあげることができたとします。
それがヒットしたため、他店舗展開を進め、5店舗にまで広げて、年商が5億になったとします。
それを標準化して、さらにもっと多く、どんどん売上を拡大していくことができるでしょう。
このような場合、起業家としては大成功だと言えます。
結果として100億企業、1,000億企業が誕生したら、マスコミでも常にとりあげられるようなモデルになります。
ところがです。
ある地域に新しい業態の年商1億のお店が1つできるということは、その地域にある、既に存在していた競合店の売り上げが、合計すると1億円減るということでもあります。
それで、競争が起こり、良いサービスが広がるのではという競争の戦略はこれまでの時代にとっては、社会の前進のために機能してきたかもしれません。
では、今後、マーケットの規模が減っていく中では、本当に良いことと言えるでしょうか?!
有り難いことに、支持くださっている「在宅秘書サービス」も、それを中小企業が採用した結果、人材派遣や紹介をしている企業、求人広告をしている会社の売上が減ったら、良いものと言えるのかと考えていまいます
正社員を切って、在宅秘書の採用数を増やしたとしたら、逆に社会から正社員の雇用が失われることになります。
このサービスを広めるに当たっても、単に自社の売上を拡大するのではなく、社会にとって本当に良いことなのかということを考えながら活動を進めることが、起業家としての義務なのではないかとも考えています。
そう考えているために、在宅秘書の採用を進める上では、
「これまで採用しなかったはずの、身1つで起業した方が採用する」
という新しい文化や価値観を広げていきたい、という思いが、そもそもの活動の始まりでもあり、今でも大切にしている考え方です。
既に社員を採用している人が、全社員を在宅秘書で置き換えても、社会は良くなりません。
本来、採用するはずがなかった人が在宅秘書を採用するから、結果として新しいマーケットが生まれ、社会が良くなるわけです。
9月の定例講義(中上級編)の中では、まさにこのように
「経済や社会がより良くなるビジネスモデルと、
競合のシェアを奪うだけにすぎない起業活動は、
何が違うのか?」
という点で解説しました。
そして、もし、あなたのビジネスが今現在、競合のシェアを奪っているにすぎない場合であっても、どうしたら、新しいマーケットを生み出していくきっかけを創れるかという点も解説してます。
音声解説ファイルやテキストは以下をご覧ください。
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